Ally座談会

LGBT+という言葉をあえて
使わなくて良い社会を目指します

DTR(Deloitte Tohmatsu Rainbow)は、LGBT+に関する理解啓発を進め、多様なアイデンティティを受容する社会の実現に向けて取り組みを進める課題解決型のネットワークです。積極的に活動を行っているメンバーに、トーマツの多様性を受け入れる文化や経験などについて語っていただきました。

  • 東京事務所
    マネジャー


    2008年入社

  • 鄭 碧晴

    大阪事務所
    シニアスタッフ

    鄭 碧晴

    Pik Cheng Chiang
    テイ ピーチェン
    2019年入社

  • 太田 理空

    東京事務所
    スタッフ

    太田 理空

    Riku Ota
    2020年入社


 DTRでは年次、職位に関係なく対等であるメンバー同士の関係を深く築いていきたいという意識のもと、苗字ではなく、名前やニックネームで呼びあっています。ですからこの対談でも、ファーストネームで呼ばせていただきます。

リク(太田)・テイ(鄭) よろしくお願いします。

 最初に、DTRの概要を簡単に説明したいと思います。DTRは当事者、非当事者問わずLGBT+に関する理解啓発を進めるとともに、様々な視点で識別される課題に対してメンバーそれぞれが自分事として捉え、解決策を検討し、取り組んでいます。そして、誰もが自分であることに誇りをもって、生活できる職場環境、社会の実現を目指しています。自分であることに誇りをもって存在することができ、周りも自分と違う「個」を受け入れ尊重することができる。私たちはこうした環境こそ一人ひとりが能力を最大限発揮できると考えます。
さて、まずお二人がDTRのメンバーになろうと思ったきっかけを教えてください。

テイ 私は2019年12月に入社しました。入社してわずか3カ月後に、COVID-19の影響で在宅勤務が始まりました。その際に参加した初めてのオンライン交流会がDTRのイベントだったのです。

 テイさんはなぜDTRに興味を持ったのですか?

テイ 私はLGBT+の友人がいて、彼らが社会的なコミュニティにおいて向けられる目線や差別にさらされていることを感じており、そういった差別をなくしたり、友人らに対して自分ができることについて学んでみたいと思っていました。DTRの活動を始めてから、理解がさらに深まったと感じています。

 当事者に寄り添いたいという想いがきっかけになっているのですね。テイさんの優しさが伝わってきます。リクさんはいかがですか?

リク 私は2020年末に入社しましたが、入社後から継続して仕事はフルリモートで行っています。DTRへの参加は、オンライン交流会がきっかけです。私は前職で駐在していたデンマークで、社会の在り方に刺激を受けました。日本では均一的なものを求められ、個人よりも組織や全体感を時には過度に重視する風潮があると思っています。一方でデンマークでは、個人のライフスタイルや属性に寛容で共生する風潮があり、その社会に影響を受けました。LGBT+の方々も社会の一部であるという意識があり寛容でした。トーマツにも多様性を積極的に受け入れる活動があることを知り、参加を決めました。

 日本ではここ数年、ダイバーシティへの取り組みが進展していますが、先進国の中では同性婚一つとっても遅れをとっている印象です。リクさんが、幸福指数が高いといわれるデンマークでの駐在経験を経て、トーマツのD&Iの取り組みの一つとしてDTRの活動に興味を持ってくれたことを心強く感じます。DTRの活動における皆さんの取り組みを教えてください。

テイ 私は大阪事務所に勤務していますが、各地区をつなぐ地区事務所連携チームのリーダーとして、東京だけでなく地区における理解啓発を推進させる活動に取り組んでいます。

リク 私はLGBT+に関する基礎的な内容を取り扱ったオンライン勉強会と、APが開催した各国のAllyメンバーが登壇するウェビナーイベントに参加しました。入社したばかりで、しかもリモートワークの毎日ということもあり法人の風土がまだ見えにくい状況でしたが、これらのイベントに参加したことでトーマツの雰囲気や方向性を感じられたのはとても良かったと思います。トーマツは法人として積極的にイベントや取り組みを行っていること自体が先進的だと思いますし、大都市圏だけでなく、全国レベルでの広範囲な取り組みをしていることに、正直驚きました。

 COVID-19によって、オンラインツールの利用が急速に進んだことがプラスに働いた例だと思います。DTRでも物理的な障壁を取り除くためにオンラインツールを活用して、全国の事務所にも積極的に目を向けて活動を広げています。広域の取り組みが好評なのは、地区事務所連携チームのリーダーを担っているテイさんのおかげです。テイさん、ありがとうございます。

制度だけでなく、文化や風土づくりが大切

 テイさんは日本語を勉強中で、入社して3カ月でリモートワークになりました。コミュニケーションの難しさがあったのではないかと思いますが、トーマツで働く中で感じたことを聞かせてください。

テイ 私は大阪事務所に勤務していますが、DTRには東京をはじめ全国の事務所のメンバーが多く参加しています。そして監査法人だけではなくデロイト トーマツ コンサルティング、デロイト トーマツ税理士法人のメンバーなど、ビジネスを超えて様々な人とコミュニケーションをとることができます。
来日したばかりの頃は日本語が上手く話せない状況でしたが、いろいろな言葉を教えてもらい、日本の文化に触れることもでき、とても勉強になりました。皆さんが私を受け入れてくれて、日本語で交流できることがとても嬉しいです。

 トーマツやDTRの良いところは、いろいろな年齢、地域、国籍、ビジネスの人が集まっていることです。DTRの中だけでも様々なバックグラウンドを持つ人たちがいて、共通の目的を持って一緒に活動をしています。メンバー間で言葉や感覚の違いは当然ありますが、その違いは障壁ではなく、メンバーの世界を広げる強みであり、同じ目的を共有しての活動はメンバー間の絆を強くしてくれています。
さて、リクさんは、トーマツにおいて、「受け入れられている」と感じた経験はありますか?

リク まず、多様な専門性やバックグラウンドをもつメンバーを会社が受け入れていることです。誰かの意見や見方がカスケードダウンされるのではなく、メンバーの「個」を尊重しようとする意識を強く感じています。プロジェクトの中では、私の開発視点での意見に耳を傾けてもらえる一方で、営業系のバックグラウンドを持つ方たちの意見もしっかり取り入れられています。多様なメンバーが同じ目標に向かい、一緒に良いものを創造しようという意識が働きやすさにつながっているのだと思います。

 仕事にパフォーマンスを求めることは当然ですが、より良いものを生むためには、同じ考え方を持っている人たちだけで同じ考えを出し合っても効果は望めません。いろいろな人の意見を否定せずに受け入れることから、より良いものが生み出されると思います。

テイ 私はマレーシアのクアラルンプール出身ですが、マレーシアは民族や文化が多様な国家です。異なる文化、様々な宗教を受け入れ、お互いに尊重しています。同じようにトーマツも、広い心で多種多様な違いを受け入れ、尊重していると思います。DTRの活動だけでなく、普段の業務の中でもそのように感じています。

 それはとても素敵なことですね。またそれは、働く上でとても重要なことだとも思います。人を尊重して受け入れるというデロイトの文化を感じ取ってくれていることを嬉しく思います。
ところで、リクさんは、デンマークという国の取り組みの中で印象に残っているものはありますか?

リク デンマークは、先ほど述べた通り文化的に社会の許容度が高い国だと感じました。多様性を許容しながら良いものをつくりあげていく。均一的なものを求めないからこそ、偏見や差別が少ないのではないでしょうか。デンマークでは会社役員や国会議員の中に、多様性が必要なことが法律で明文化されています。多様な指導者が活躍していることが、その後押しになっていると思います。

 私も文化や風土づくりが最も重要だと考えています。多くの制度をつくっても、人の気持ちが伴っていなければ真のインクルーシブは達成できないと思います。ですがその一方で、形として目に見えないダイバーシティを想像して、制度を作っていくこともD&Iを推進していく上で重要なことだとも思っています。トーマツには、多様なメンバーがそれぞれの状況に合わせて利用できる、働き方やD&I関連の制度が沢山あります。LGBT+関連では、慶弔婚を同性婚にも適用していますし、相談窓口も整備しています。いざという時に使える柔軟な制度の整備と、風土づくり、両方の取り組みを並行して進めていくことが重要だと思います。

皆が「自分事」として取り組むことが重要

 お二人にとって理想の職場や社会とは、どのような世界でしょうか。

テイ 異なる人、背景、文化でも、差別がない職場や社会。これが真に理想的な社会だと思います。

 私もそう思います。今回はLGBT+がテーマですが、ほかにもいろいろな多様性があります。様々な人をポジティブにとらえて受け入れるということは、全体のパフォーマンス向上につながると思います。

リク 私はその人の個性を、先入観、偏見、差別などで排除したり遠ざけたりせず、コミュニティの一員として許容度を高めていく必要があり、それが理想の社会・職場だと思っています。トーマツは、理想の職場に近づいていると感じます。そして平等性(Equality)だけではなく、公平性(Equity)につながる考え方として、個人のニーズや価値観に合わせて配慮されている点も理想的だと思います。

 重要なポイントだと思います。お二人の考える理想が広く実現して、様々な課題や障壁がなくなり、一人ひとりの個が尊重され、それぞれが活躍できる社会になったら本当に素晴らしいと思います。

リク 本当にそう思います。実現のためには、全員が当事者意識を持つことが重要だと思います。非当事者の方にも参加してもえるように、貢献していきたいです。

テイ 私が心掛けている、英語の一文があります。それは、「If it is not an active inclusion, is a passive exclusion.」です。つまり、「積極的に受け入れていく姿勢でなければ、排除を容認しているのと同じ」ということです。

 皆がLGBT+を自分事として考え、あらゆるアイデンティティを認め合う社会、きっと「LGBT+」という言葉をあえて切り出して使う必要のない社会をつくっていけたらと思います。そんな社会の実現を皆で目指していきたいですね。本日は、ありがとうございました。

リク・テイ ありがとうございました。